インプットの科学に向けた序章(1)

EFL環境において(も)英語のインプットが大事だ、ということには疑う余地がない。きっと。「きっと」というのは自分が対象としている中学生に対して直接的にそのような根拠を示すものがないので確証が持てない、というだけで・・・。一方でSLA研究からは様々な立場で明らかになっていることが多いので、ま、日本人中学生学習者に対してそう言っても間違いないよね、といった感じです。

これまで自分の考えは多くの文献・考えに影響を受けてきましたが、特に日本におけるEFLを対象とした示唆が多い文献として白井先生や和泉先生の著書が非常に興味深かったですね。

 

「フォーカス・オン・フォーム」を取り入れた新しい英語教育

「フォーカス・オン・フォーム」を取り入れた新しい英語教育

 

 

英語教師のための第二言語習得論入門

英語教師のための第二言語習得論入門

 

 

 

外国語学習の科学―第二言語習得論とは何か (岩波新書)

外国語学習の科学―第二言語習得論とは何か (岩波新書)

 

上記の文献らが発行されて10年近くも経つのかー、と思うわけですが、その当時はFonFとかSLAといったワードもとても新鮮でした。一方で、読めば読むほど謎が深まり、授業にどのように生かすのか悩みに悩んだことをよく覚えています。

 

そこから私も色んな変遷を経て今に至るわけですが。

インプットが大事だ、と言っても英語をただ与えればよいというわけではないわけで、そこには指導者として生徒の課題を見取り、その課題に対してインプットを機能的に作用させることが必要なのだと思ってます。

それっていわゆるProcessing Instructionをさらに調べることも必要かと感じているところなのですが、今のところのPI系理論についてはVanPattenとかPienemannとかのものかと思いつつ。ところが、なかなかこれらをじっくり精査するには到っていないのが現状で、かいつまんで読んだだけ、つまるところのほぼほぼ積読状態というところで推移してます(笑)そして何だか読んだ気になっている自分が痛い・・・。

Language Processing and Second Language Development: Processability Theory (Studies in Bilingualism)

Language Processing and Second Language Development: Processability Theory (Studies in Bilingualism)

 

 

 

Processing Instruction: Theory, Research, and Commentary (Second Language Acquisition Research Theoretical and Methodological Issues)

Processing Instruction: Theory, Research, and Commentary (Second Language Acquisition Research Theoretical and Methodological Issues)

 

 ですが、これまで読んだ中で実践的にも開発的にも役に立った文献は下のもので、こちらの内容には非常に影響を受けました、っていうか受けています、今も。これはなかなか色あせないね。 

MAKING COMMUNICATIVE LANGUAGE TEACHING HAPPEN (The McGraw-Hill Foreign Language Professional Series)

MAKING COMMUNICATIVE LANGUAGE TEACHING HAPPEN (The McGraw-Hill Foreign Language Professional Series)

 

 

実践を考えるときLee&VanPattenを参考にすることがまーあるのですが、Structured Inputのガイドラインは発展的に使えるかなーと感じています。

・Present one thing at a time.

・Keep meaning in focus

・Move from sentences to cennected discourse

・Use both oral and written input

・Have the learner do something with the input

・Keep the learner's processing strategies in mind

活動例などを見ると、だいぶ文法にフォーカスされているものもあるのですが、本書の主張としては機械的ドリルやいわゆる伝統的な文法指導にははっきりとNOを宣言しており、それらとは明確な線引きがあります。文法はメッセージを理解するのにアシストとなることを理解すべきである、という立場からの活動提案となっています。メカニカルなもの、伝統的なものの扱いについては触れられていないので、どこまでどう著者らが効果的である、もしくは害であると考えているのかはわかりません。私の手元にあるのは2nd Editionで2007年のものなので発刊されてからしばらく経っていますが、インプットの扱いについて日本のEFL環境下ででも出来る、そして第二言語の習得に適した形で・・・を実践的に提案できるようにしていきたいなーと思っています。