Mike Long

最近Mike Longの著書を購入した。

 

 

これまでにもタスク関係の著書でその考えに感化されてきた。

もちろんLongには直接会ったこともなければ、講義を受けたこともないが、

SLAの権威として、私も多かれ少なかれ間接的に学びを享受してきた。

Mike Longが今月初旬に逝去されたとのこと。

Mike Longの一学習者として、今後もMike Longとの対話を続けたいと思っております。

 

中学校でのdebate実践

中3の担当ということで、これまでに学んできたことを総合的に活用していくような実践をしようと考えながら実践しています。

今年の重点はスピーキング力を伸ばすこととしながら、明示的知識を基礎にしたスキルの獲得を促しています。
ここしばらくディベートに取り組んできました。

結論から言うと、この指導はかなり計画的にしなければいけないし、なかなかすぐにできるようにはならないけど、生徒が準備ができて、少しできるようになってくるとディベート指導・学習のメリットは多岐に渡る、と思います。

 

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これからもディベート実践は続きます。
 

教育研究と統計処理

今日も急ピッチで統計処理をしたところです。

来月の〆切に向けてだいぶ仕上がってきましたが、とりあえず書き上げることを第一目標としながら、さらに読みやすさを追求したいところです。

 

さて統計処理について思ったところとして、確かに掲げた指標の統計的な分析は大事です。何がどのように変容しているのかを明らかにすることは言語教育を科学することであるからです。

 

しかしながら、私は実験として研究をしているのではなく、あくまで生徒の育成を第一義とする教育的な環境において実践研究をしているという自覚を持っています。

 

であれば優先されることは、再現性・・・というよりも、実践をどのように計画し、実践したか、という点にあるものと思います。

 

実践研究の意義はどんなところにあるのか、についてはさらに考えを深める必要がありますが。授業をすることや実践発表をすることの中で、そこから生まれてきた教育的示唆をさらに科学していきたいと思います。

 

明日から学校が動き出すのですが、学年としての仕事もしっかりしないとな笑、と思っており、明日は忙しくなりそうです。

 

研究としての学びの還元について思ったこと

関東地方の緊急事態宣言が開けて少し経ちますが、東京は人出が戻ってきており、車も多いなーと感じています。

 

数日前にセミナーを開催したのですが、参加して頂いた先生方とは色々と協議ができ、気がついたら予定の時間を1時間もオーバーしてしまいました。

すみません、というのと同時に「深い議論ができて楽しかったです、ありがとうございました」というのが正直なところです。

 

先日はちょっとした用事をするために車で出かけなければならず、近隣の県までいくこととなったのですが、初めていく土地だったので、どのような感じかと思っておりましたら、まあ私の実家のような田舎具合で非常に安堵しました・・・。

 

その田舎具合を傍目に改めて考えたのですが、全国各地の学校の先生方って、田舎から都会までいらっしゃるわけなのですよね。いろんな先生方が日々生徒指導や部活動に奮闘していてお勉強もされていてってなるとなかなか時間が物理的に取れないし、実践的な話を欲してしまうってのはよくわかる話です。

 

いくら私が研究的なことをしていても(それが役に立てればいいのですが)、それを研究的にどうだかってお話しても何にも伝わらないのですね。

 

そこで私は考えないといけないことがある。

 

「私は如何に学びを還元していけばいいのだろうか。」

 

それはフレーミングということか。

 

学校業界で通りやすい言葉、通りにくい言葉ってあるんですよね。

学校の先生方にお話するときはそれなりの言葉を使わないといけないんだろうな。

学習指導要領とかで聴き慣れた用語であれば伝えにくいことも伝わるはずか。

こうこう、こうすると「学びに向かう力」がこのように養えると考えます、

深い学びって、こうこう、このように考えてます、その実践ってこうこう、このようにやってみました

などの方がよっぽど良いかもね。

 

いつも自分の考えでいっぱいだったのだけど、なんか久しぶりに東京を離れて田舎に行ってみたら考えが俯瞰できた感じがするし、心身ともにリフレッシュされて良かったなー。

 

という感想。当たり前といえば当たり前のことだけど、そこから少し離れたところで実践している身としては、その当たり前に気がつくかどうかって大切だね。

 

 

 

本年度の実践開発についての概要

気がつけばもう年度末がやってきて、以前のブログを書いたのはいつのことか、という感じ。書くことを忘れていたわけではなく、書く余裕がなかった。今年度はコロナのこともあって、何かと余裕が無く日々が流れていき、目の前のことをこなすばかり。毎日が自転車操業でしんどかったなぁ。

 

でも実践的な学びは非常に充実していた。

 

研究としての論理的構成と実践からということもあり、実習生指導もあり、オンラインもあり、大学との授業研究会もあり・・・。

 

今年の授業実践は、生徒の課題を克服させる手立ての手続きをSLAの見地から計画し実践できたことが大きい。そしてそれが生徒の学習への動機を高めている、という手応えを感じていることによる。データをとっていないので(その点は私の今実施している研究の範疇ではないため)、本当に動機づけされているのかは正しくは言えないけど、教師としての感覚はそんな感じです。しかし、実践の展開を考える前にそもそも、という前提について今年度は特に考えが深まった。

 

「指導しようとしている展開をなぜそのように計画しているのか。」

 

この点について考えが深ければ深いほど対象としている学習者のことを理解しているということだし、より言葉を習得させる(学習させようとしていることがより学習者に落ちていく)展開になっているものであるんだろうね。

 

私が指導案を書くときは、論文の項を立てるイメージで書いていくので決まりきった生徒観、教材観、指導観などを使って書くことはないが、そのいわゆる生徒観をいかに分析的に見て書けているか、それが相手に伝わる形で表現できているか、は教師としての生命線ではないだろうか。それ点が実習生はやはり見取りができないことが当たり前だし苦労している様子が毎年見られるので、この視点をより体系的に育成できないかと思っている。現職の先生でもこの視点を言語化でき、論理的に捉えながら指導を俯瞰しているかって言われたら数は少ないのではないだろうか。大学ではその点については指導されないですしね。

 

そのあとの実践計画をする際にもコツを見出すことができたり、実際の授業において指導上陥りがちなエラーを防ぎ、生徒の学びをうまく引き出すテクの開発をしたりしてきた。学習指導案の形式を新たにした点は特に本時の学習についてなんだけど、それを作成する際にはかなり頭を使うし、それにより授業はかなりイメージ化され、当日の指導は楽になる。公開授業研などで提示できればとは思っていますが、教育実習生にも、授業研究会などでもわかりやすいとの意見があり概ねいい感じかとは思ってます。

 

この春休み、論文の一つを結構なところまで仕上げたい。それが秋頃冊子になったり、オンラインで公開されるので、責任感を持って取り組んでいるところで、またこちらでも綴りたいと思っているところです。

 

この濃霧の中での模索

3月から学校に生徒が登校しなくなり(所々ワンショットはあったものの)、もうすぐ2ヶ月になろうとしている。

もうここまでくると最後の授業が遠い昔のことのようで、これから学校が再開した時にどうなるか、かなり不安がある。

そうこう言っていると、さらに5月末日まで再開延長という自治体も出てきていることから、コロナの渦中にある地域にいる者としては、ま、きっと同じように、そうなるんだろうな、と思っている。これまでも再開を見越して学年の準備をしてきているものの、それが幾度となく実行されないとなると、生徒・保護者もそして私たち自身も混乱、不安、焦燥、・・・何とも筆舌に尽くし難い状態であることは間違いないよね。

 

この時期に私が英語教育研究として取り組んでいること

1)学校としても方向性を検討している(英語学習の)オンライン学習のあり方について

2)実践研究としての構想とデータ収集について

 

1)については、ただ単にオンライン上で指示を出したり、課題を提示したりといったことではなく、生徒の「英語スキルを伸ばす」ためのオンライン実践をどのように行うか、ということについて。

しかしその実践のための制約は多くある。

zoomを使った形態で行うことがオンライン実践で果たして本当に効果的なのか、chatで生徒をオンライン上に集めて何ができるのか、定かではないことが多い。

そもそもそのためのアカウントや生徒の環境などについても課題は解消してない。

聞いておけば、見ておけばいいのであれば、それはそれなりにテクノロジーを使えばいいのかもしれないが、

英語科としての技能を育成するために現在使えるテクノロジーをどのように使うか、という視点で考えなければ、

ただ単にオンラインで何かをした、というだけに留まってしまいかねないよね。

 

今考えているのはオンラインを使った自己調整学習の実施ができれば。

ある程度は私が教科書内容について話をする時間はとるが、

生徒に考えさせる余地をしっかり残して課題を提出してもらう、という流れにしたい。単語の発音や文におけるassimilationなども押さえながら、繰り返し音読などのpracticeをさせる時間をとる。ただ音読についての評価をどのようにするか、ということについてはまだ見えていない。

近いうちにオンライン模擬授業をやるので、そこで課題がさらに見えるはず。

 

2)についてはこの期間かなりのSLA論文を読み、そしてISLAの観点からリフレーミングしてきた。

DeKeyser, Skehanあたりの考えはまだまだ浸透していないし、彼らの主張するcognitiveな側面から捉えるpractice, skill acquisitionの概念は私の研究、実践において核となりうる。

学習指導要領などに書かれている目標を達成していくのに、practice, skill acquisitionの観点からはかなりのことが説明できると思う。

Individual Differencesについてもかなりの発見があったし、その中でも特にlanguage aptitudeの知見とpractice, skill acquisitionについても概観することができた。

これらの領域は海外では広く進められているものの、日本人を対象としたSLA researchは少ない。中学生を対象としたものなどほぼない。この領域を専門としている研究者とコンタクトが取れているので、さらに今後協力をお願いしたいと思っている。

上野千鶴子「情報生産者になる」はかなり有益だった。これは研究者じゃなくても読むべきだと思う。

情報生産者になる (ちくま新書)

情報生産者になる (ちくま新書)

 

 

昨年から今年にかけて教育哲学の領域にかなり傾倒していたが、その時期を経て、再度SLA分野に戻ってきた今日この頃。教育哲学の見地から自分の領域を捉える経験はかなり良かった。ウィトゲンシュタインに関する解説意見書はマジで面白かったな。

 

言葉の魂の哲学 (講談社選書メチエ)

言葉の魂の哲学 (講談社選書メチエ)

  • 作者:古田 徹也
  • 発売日: 2018/04/10
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

 

古田先生の著書はこれから私自身がさらに勉強をして深めていきたい。それらを真に理解する力はまだない。

自分自身の英語力を伸ばしていくためには何をすべきか、きっかけを掴むことができた。やはり鍵は語彙力とCAFの育成だと思う。vocab studyとin/outputをしばらくやり続けていたらきっと変化がある。

 

近日中にこれからどのようにするのかを決定する会議に出るが、6月再開か、9月になるのか、色々と考えて意見は言おうと思う。今できることは準備と力量を上げておくこと。ただ、上げた力量で生徒にいきなり難しいことを問うというのは見当違い。生徒の実情に応じて適切な課題を提示できる、痒いところに手が届く実践を構築することだね。

 

奨励研究について

本年度も日本学術振興会による科学研究費助成事業、通称「科研費」の採択結果が出る時期となり、附属学校教員である私が申請できる奨励研究に応募、申請していました。

 

https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/11_shourei/index.html

区分は「教科教育学および初等中等教育学関連」とし、理論的な側面を押し出して科学するSLAというよりかは、今現状の生徒の課題を捉え、その改善にSLAの知見を当て込む視点としました。課題を捉える中で、習得における変容しにくい変数を明らかにすれば指導のポイント等が考えられるものと考えます。ということも含めて教育学的なアプローチから計画し、調書を作成しました。

例年4月1日に開示となり、通知されるのですが、所属大学宛てに送付されることから、本年度は6日(月曜日)には書面で確認できそうです。

本年度は(もう一つ研究助成の申請を検討しているため)担当係に結果を問い合わせ、メールにて結果を送付して頂きました。

 

結果は「採択」。

 

交付される金額は、本年度の研究を行うには十分な額を頂けました。

通常であれば15%あたりの採択率であることから、それなりに本年度の研究計画書が評価されたものと思います。

 

申請から結果までの流れ

1)研究計画書の作成(10月下旬に大学の研究協力係に提出)

  1:研究目的、研究方法など

  2:これまでの研究活動及びその成果

    研究経費 使用内訳

    人権の保護及び法令等の遵守への対応

 

2)採択結果の開示

  4月1日に所属機関に通知(オンラインでは公開されず)

  4月●日、文書で勤務校に通知

 

私がこの申請で一番力を入れたのは、「研究目的、研究方法など」の内容をいかにアピールするか、という点でした。今までに誰もしていない点に着目すること、今までに取り組んできたことと本研究が結びついていること、理論と実態の乖離を明らかにするとともにただ実践するのではなく、生徒の弱い点を補強する、根拠のある実践を実施すること、などを訴えました。

 

科研費採択なのでまだわからないところがありますが、しっかり研究として進め、実践として生徒に大いに還元していきたいと思います。